2016年6月2日木曜日

[コラム]「ゲーム業界」を語ってみる vol.1

はじめまして、花子です。

6年ほど前からゲーム業界に入り、現在とあるゲーム会社でプランナーしてます。

さて、このブログが開設してから、どんな記事を載せようか?とずっと考えていましたが、自己整理も兼ねて『ゲーム業界ってどんなところ?』ということを、自身の視点で書いてみようと思います。

軽くテキストにまとめてみたら、思いのほか壮大になったので、複数回に分けて公開していきたいと思います。

当然ですが、これは業界の一部を切り取ったものに過ぎず、極めて主観的な意見なので、これが全てではありません。

共感していただける方も、そうでない方も、「こういう視点もあるのね」という感覚で読んでいただければと思います。


今日は、『ゲーム業界の特徴』について書いてみます。

これが良いか悪いかという話ではなく、そういう現実がありますよ、ということです。



「おもしろさ」を論理的に語りたがる

 ゲーム会社の採用情報でよく目にしますね。

 「おもしろさ」を論理的に語れる方

 ぶっちゃけ、ゲームっておもしろいだけでは売れないです。


 「売れるゲームを作る」 ≠ 「おもしろいゲームを作る」


 この数式は、ゲーム業界に数年いれば身に染みて染みて染みすぎちゃって、理解しているけど、納得したくないものだと思います。

 でもこれが事実。

 そして、みんな「おもしろいゲーム」を作りたくて、それを「売れるゲーム」にしたいんです。

 だからこそ、「おもしろさ」を論理的に語りたがるのかもしれません。


構成比として、圧倒的に男性が多い

 プランナー/ディレクター/プロデューサーという職種に女性は少ない印象です。
 「でしょうね」という感じられる方は多いのではないかと。

 当たり前っちゃ当たり前です。

 市場として圧倒的に男性ユーザーが多いので必然的にそうなるということ。
 逆に、女性向けタイトルをメインにしている会社は女性が多いと聞きます。
 

 だからといって、女性が虐げられている環境ではないです。
 ただ、意見は通りにくいです。

 だって、数が少ないから。
 つまり、共感してくれる人が少ないということ。

 エンターテイメントを商売にしているが故に「おもしろさの価値」を問うことが多々あるのですが、共感者が少ないというのは、それだけで「おもしろそうに思えない」と感じやすいのです。

 また、市場として男性が多い現状から、やはり同性である男性の意見のほうが当たりやすいです。

 逆を言えば、「だから女性ユーザー比率の高いコンテンツが少ない」とも言えます。

 ただ、デザイナー、イラストレーターなど、職種によっては女性が多い場合もあります。

 あと、男女比が極端な職場が多いため、マナーやモラルはちょっとアレな印象です。


セミナーとか交流会がやたら多い

 わたしが知っている他のいくつかの業界よりは多いです。
 技術セミナーとか、売れてるアプリ開発者が語るセミナーとか。
 GameJamやハッカソンといった、「週末にみんなでゲーム作ろうぜ!」的なイベントもよく開催しています。

 主催はイベントごとに異なりますが、企業主催のものは、人材募集を兼ねています。


たいして儲かる事業ではない

 かつてのソーシャルブームや、パズドラ、モンストなどの超大人気タイトルの印象が強いと思いますが、現時点においては、たいして儲かる事業ではありません。

 たとえば、月一億の売上があっても、利益が数百万程度というのはあるあるです。

 よく、「実態のないデータを売っている仕事なんだから、人件費や製造費はそんなにかからないはず。」と言われますが、それは勘違いです。
 

 「実態のないデータに、どれくらいの価値を持たせるか」


 という永遠の課題があるわけです。

 これは、ある程度のデータを収集し、分析することによって、それなりの価値をつけることはできますが、「より一層価値を高める」ことが非常に難しいのです。

 それは、単純なキャラクターのステータスが高ければよいという話ではなく、「それを手に入れてどう遊ばせるのか?」という部分になるため、新しい遊び方(機能)の開発や、既存クエストの改修、課金UI/UXの変更など、考えるべきポイントは多岐に渡りますし、常に変わり続けることを要求されます。
 

 単純に、「てっとり早く稼ぎたい」方には別の事業をおすすめします。


他の業界よりは比較的自由

 出勤時間が遅めです。
 大体9:30~10:00始業が多いのではないでしょうか?
 
 服装も自由です。
 ジーパン、サンダル、下駄、ハーフパンツ、年中半袖 etc.
 金髪、無精ひげ、ガチひげもあまり注意されることはありません。
 取引先も大体同じなので、「今日は他社との打ち合わせだからスーツ!」ということはほとんどありません。


納期はあってないもの

おもしろくない、売れないと判断されると作り直しが当たり前の世界です。

なので、当初に引いたスケジュール通りに進まず、リスケの連続で気が付いたら半年、一年延びたという状況になります。

チームメンバーは納期を意識していないわけではないのです。
(中には薄目な人もいますが。)

昨今言われている、開発費の高騰の理由のひとつになっていると思います。

異業種から転職されると、納期に対してのフレキシブルさにジレンマを感じるかもしれません。



以上がざっくり思いつくゲーム業界の特徴です。
冒頭でもお断りしたとおり、おもいっきり主観ですので、半分ファンタジーとしてとらえていただければと思います。